彼は薄汚れたボロボロの体に、薄汚れてそれでも可愛らしい首輪とお洋服を着たまま保健所に収容されておりました。
お洋服を着せてもらっていたような子なので、飼い主はきっと探しているだろうと返却を期待しましたが
期限が切れてもお迎えは来ませんでした。

動物愛護センターでは怯えていたためか非常におとなしくなすがままに抱っこをさせたとのことでしたが、
いざ我が家に引き出してきたところ彼の深い深い闇に気が付きました。
おそらく、いえ、確実に酷い虐待をされていたのだと思います。
突然人の手を怖がるスイッチがあります。

おすわりも、伏せも、待ても、お手も教えられています。
彼の過ごしてきた10年以上の歳月が見えてきません。
元々の気性としては未去勢ということもあり、強い子なのだと思います。
それを力でねじ伏せてきた結果がこれなのかなと感じます。

暴力の前に早い段階での去勢をなぜしなかったのか。
適切なトレーナーさんに協力を依頼してポジティブなトレーニングがなぜできなかったのか。
責任も取れずに捨てるのならば、なぜ犬を飼ったのか。
元飼い主に言いたいことは山程あります。

かく言う普段の彼は、
無駄吠えもなく、他の犬とも仲良くでき、トリミングサロンではおとなしくシャンプーをさせて非常にいい子だったとのこと。
ホルモンバランスの乱れによる脱毛は去勢後改善されるか経過観察中です。
人好きのくせにスキンシップ下手、抱っこは嫌い。怖い。
おやつは大好きで、おやつでのスキンシップやトレーニングが可能。
ご飯もキレイに完食！

こう見えてかなりの撫でられ魔です。
なでて欲しくて常に様子をうかがっています。
おいで、と呼ぶとおずおずと寄ってきて、なでてなでてとすりすりすりすり。
彼の変わっていく様が日々手にとるようにわかります。
人がとてもとても好きな子です。

彼の過去の全てを受け入れてくれ、
それでも可愛いと、最期まで一緒にいようと、言ってくださる方からの応募をお待ちしております。