茨城県某町にいる野犬の群れで生まれた子犬です。
茨城県にはまだ野犬の群れが令和の現在でもおり、そこでは定期的に子犬が生まれては捕獲され生まれては他腐れのいたちごっこを繰り返しております。
野生で1年も暮らしてしまうと人馴れが格段に難しくなってしまいます。
せめて子犬の時期に捕獲して人との暮らしができるようにと保健所の職員たちは必死で子犬たちの捕獲を行っております。
茨城県のセンターは収容された犬で溢れかえり180頭前後がひしめき合っております。
沢山の愛護団体が必死になって引き出し、なんとか数を減らそうとしているのですが、
毎週数十頭がセンターに収容されるのです。

彼もそんな犬の一頭でした。

おそらく兄弟であろう犬と一緒に動物指導センターの檻の中に収容されていた
まだあどけなさの残る巨大な子犬は
不審そうな顔でこちらを見ていました。
ライオンの子供のような太い脚は、将来面白い大型犬になりそうな期待感をこちらに与えてくれました。
人と触れ合ったことのない巨大な子犬は、触ろうとすると「いやーん」と口をあててきましたが
本気で噛むわけではなく、概ね大人しく首輪をつけさせました。
野犬の人馴れが大変なことはよく知っています。
それが4ヶ月齢にもなると徐々に難しくなることも。
さあ、明日から修羅場だぞ！と自分に気合を入れて我が家に連れ帰りました。

修羅場を想像した翌日、呑気な彼はいい具合に撫でられるようになり
3日後、シャンプーを大人しくさせ（歴代ナンバーワンのいい子！）、
1週間後抱っこもでき、
10日後にはしっぽを振って甘え、
3週間後には「生まれた時から家庭犬ですけど？」という顔で我が家で暮らしています。

元来の穏やかな性格がにじみ出る、本当に穏やかな子犬です。
沢山の人に愛想を振りまき、
私が帰宅すると大歓迎で迎えてくれ、
小さい犬とも手加減して遊んであげることが出来ます。

初めてのお散歩も戸惑いながら近所一周旅行を敢行できました。
のんびりとした牛と、並んで歩いているような錯覚を与えてくれる穏やかなお散歩。

ハウスも理解し、自ら入り、
お留守番も超大人しく待っていられ、
トイレは室内での失敗はもうなくなり外に出るまで我慢我慢が出来ます。

初めて大型犬を飼育したい人に、これ以上最適な子犬がいるでしょうか。
大型犬が興奮してリードを引っ張り指を骨折・腕を捻挫、なんて話を聞きますが、
彼とは無縁の話かもしれません。

穏やかで大きい犬と暮らしたい方向けの素晴らしい犬です。