常時170頭を超える犬が収容されている茨城県動物指導センターより引き出しました。

茨城県茨城町は県内でも特に野犬の収容頭数の多い自治体の一つで、
30キロ級の大型の野犬の群れが、林や畑を縦横無尽に走り回っております。
すベての犬の捕獲ができない以上、繁殖は防げず、
子犬もどんどん生まれてしまっている現状です。

彼は子犬期に捕獲され、
そこから引き出しの機会を逃され、センターで大きくなりました。
人馴れが簡単な子犬期に何としてでも人馴れをさせたいというのがボランティア側の気持ち。
ただ、それができなかった彼は、人馴れが難しい犬だと、引き出しを諦められてきてしまいました。

1年9ヶ月もの間、あの異常な空間で生きてきました。
収容当初は犬同士の殺し合いも時々起こる過密な集団房で暮らし、
去勢のタイミングで個別房に移されたそうです。

個別房に移されたのは懲罰のためではなく、
彼にチャンスを与えるためでした。

彼の懐っこさと優しさを見抜いた職員の1人が、お散歩練習を始めたのです。

数回の練習でお散歩可能な犬になり、「お散歩ができる秋葉犬がいる」と聞きつけた私に目をつけられ、今回引き出しに至りました。

30キロはあろう巨体と、大きな頭。太い足。
魅力的な秋葉犬です。

長期間センターで暮らした彼ですが、
引き出した初日にいきなりシャンプーをおとなしくされ、乾かされ、
ケージでおとなしく眠り、ポインターの若い女の子といきなり馴染み、
お庭では、子犬のようにはしゃぎました。

センターでは排泄を垂れ流しその上で眠らざるを得なかった彼は、初日こそケージ内でおしっこをしましたが、
お外でトイレを済ます事を思い出し、お外に出すとすぐ用を出すようになりました。

何もかもが彼にとっては新鮮です。
手からそっと優しくおやつを食べ、嬉しそうに何度も何度も草の匂いを嗅いでいました。

初めての道路でのお散歩も、パニックになることなく堂々と歩き、
横を車がすり抜けても静かにやり過ごすことができました。

これが、今まで人と暮らしたことのない秋葉犬です。
人と暮らしたことがないのにこの飼いやすさです。
名犬の血統です。
まさに人と暮らすために生まれてきた犬です。

彼を散歩練習してくれていた職員さんは、彼を車に積み込むのを手伝ってくれました。
とても愛おしそうに、
とても嬉しそうに、
「頑張れよ、良かったな、幸せになるんだぞ」
と、何度も言いました。

彼の人生のやり直しです。
共に歩んでくださるご家庭を募集しています。